Rewatch 響け!ユーフォニアム#2『承』

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第三回「はじめてアンサンブル」から第五回「おかえりフェスティバル」でははじめての練習から先生への反発、そしてフェスティバルでの演奏という流れが描かれます。起承転結で言うと承にあたります。

練習がスタートすると久美子と緑耀は経験者なので問題なくついていけますが、葉月ははじめての楽器なので音を鳴らすのも一苦労。実際、高校の3年間だけで集団で演奏ができるようになるのはとっても大変そう。(というか、自分だったら絶対無理だなあ。。。葉月は勇気がある)

「響け!ユーフォニアム」公式HPより

低音パートの先輩のあすかはかなり演奏テクニックも高いが、3年生の中にも練習にやる気のないものがちらほら。そんななか滝先生のはじめての指導がありますが、滝先生は初心者用の曲を示して「パート練習をすすめて、合奏ができるようになったら呼んでください」と言い残してすぐにいなくなります。でも吹奏楽部のメンバーは初心者向けの曲の合奏よりも毎年恒例のサンライズフェスティバルをどうするかが気になって練習に身がはいりません。

その状態ではじめて先生の前で合奏すると演奏はバラバラで、先生から「なんですか、これ?」と言われてしまう。さらに先生はこの合奏ができないとサンライズフェスには出場させませんといいます。

これでパニック状態になる部員たちで先生への不満も増大しますが、麗奈だけは先生を信じている。やがて他の部員も先生のスパルタに反抗するように徐々に練習を重ねてついにフェスティバルに出場することができました。

「響け!ユーフォニアム」公式HPより

第一から第二回が主要登場人物とその背景の説明でかなりギャグコメディ的表現が多かったのが、第四回あたりからスポ根要素が大いにましてきて徐々にシリアスタッチに変化していきます。そしてその中でも滝先生の優しいのか厳しいのかよくからない不思議さと麗奈のエキセントリックさと美しさが際立ちます。そしてフェスティバルでは見事な演奏でライディーンを演奏して最初のチームの団結のシンボル的なイベントになります。

若い女性を中心にしたチームにスパルタの先生という構図は実は極めて陳腐で大昔の「サインはV」のようなスポ根の定番です。現代のようにパワハラが大きく問題視されるなかで、同じ構図を踏襲していいのかということが少しひっかかるところがあるのは事実です。競技をする団体のリーダーは常に団体の勝利のための判断と各個人の幸せのための判断のバランスで悩むものですが、滝先生は最初に「みんなで勝利を目指すか」「楽しくやるか」を自分たちで選択しなさいとなげかけます。なので一応パワハラではなくみんなで臨んだものだからいいでしょうという論理なのかもしれません。ただ、久美子が言うように「大人はずるい」というのも真実ですね。この問題についてはこの作品ではながかけるだけで終わっているので「この問題に正解はない」というスタンスなのでしょう。

さて、麗奈のエキセントリックさがどんどん強調されますが、久美子も徐々にそれに慣れていって一緒に帰るようにはなってきます。そして麗奈は久美子の何気ない一言に「黄前(久美子)さんらしいね」と言って意味ありげに笑って髪をかき上げてこれからの新しい関係を示唆して第五話が終わります。

「響け!ユーフォニアム」公式HPより

極めて普通の人の久美子(演奏も下手ではないが特別優れていない、学校の成績も平均よりやや上程度、思いやりはあるけれど自分から前にでていかない)とエキセントリックな麗奈(目標に向かって突き進む、そのためには多少の輪の乱れはルール違反は気にしない、先生を神格視)の距離が徐々に縮む描写がみていてドキドキさせる展開です。

「響け!ユーフォニアム」公式HPより