シン・ウルトラマン考#2ートップをねらえ!(ネタバレあり)

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シン・ウルトラマンのプロットにはウルトラQ、ウルトラマンをリスペクトしたネタが大量に散りばめられていますが、でも驚いたことに最後のクライマックスは庵野さんが初めて商業作品を監督した「トップをねらえ!」そのまま!映画監督でも小説家でもデビュー作はずっとその人がやりたいと思っていたことを爆発させるのでデビュー作がその人の一番やりたいことが詰まっていることががよくあります。アーサーCクラークのデビュー作「太陽系最後の日」や小松左京のデビュー作「地には平和を」などは彼らがその後繰り返して問い返すテーマが一番濃密に詰まっています。庵野さんにとっても「トップをねらえ」はまさにそういう作品のようです。

今回もネタバレがありますので、ご注意ください。

「トップをねらえ」 Blu-Ray BOX

シン・ウルトラマンのクライマックスはもう地球なんか破壊してしまおうということが光の国で決まって、ゾーフィが最終兵器ゼットンをもってくるところから始まります。

このままでは太陽系が消失してしまうという危機のなか、科学者の滝は自分たちの科学なんか意味がなかったといじけてしまいます。(これはオリジナルウルトラマンのイデ隊員と同じ。)でもウルトラマンからメッセージをもらってやる気をだしてゼットンを倒す方法を世界中の科学者と協力して探し出します。でも、その方法を使うとウルトラマンも戻ってこれなくなる。

ここからが、「トップをねらえ!」の展開になります。

「トップをねらえ!」のクライマックスでは、膨大な数の宇宙怪獣を銀河から一層するために銀河の中心で木星を核にした超巨大ブラックホールを生成する作戦がはじまります。でも最後の最後で起動装置に不具合があって起動しません。そこで主人公二人が私たちがいって起動しますと申し出ますが、司令官が「そんなことはできない」と二人の申し出を断ります。

それでも二人はブラックホール爆弾の内部にはいって起爆に成功します。二人は超重力崩壊に巻き込まれながらなんとか地球に帰還しますが、重力場の影響で1万年以上がたっていたのでした。もう人類は滅びてしまったのか?と落胆した二人が目にしたのは「オカエリナサイ」の文字でした。。。

シン・ウルトラマンではウルトラマンが自分はどうなってもいいから行くと言いますが、班長はそんなことはさせられないとその申し出を拒否します。それでもウルトラマンはゼットンを攻撃して超重力崩壊(?)を起こします。そのときのビジュアルのイメージはほとんど「トップをねらえ!」と同じでウルトラマンもその中に巻き込まれてしまいますが、ゾフィに助けられます。そしてウルトラマンと一体になっていた神永は分離され地球に戻ります。地球に戻った神永はほかのメンバーに「オカエリナサイ」と迎えられます。

「トップをねらえ!」はそのストーリーの壮大さとSF的なセンスのよさから、半分ギャグアニメでありながら最高のSFでした。シン・ウルトラマンを見ながらほんとうに庵野さんはあの話に命かけてたんだなあと思わずしみじみしてしまいました。

いま「トップをねらえ!」はネット配信もされていますが、画質が悪いのでなんとか4Kリマスターしてリリースしてくれないかと切に願っています。