「君の名は。」の構造設計

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「君の名は。」を見ている外国人の言葉でよくでてくるのはもちろんbeautifulだけれど、他にもいろんな言葉がでてきます。見ながら「What the heck!」「This director is cruel」と言ったり、終わったあとで「So many feels」と言ったり。これは物語の中で見ている人間の気分のupとdownの配置が極めて慎重に設計されているからだと思います。

「君の名は。」公式HPより

気分のupとは喜びや興奮の感情。downとか悲しみの感情。upは簡単には現れず少し引っ張ってから現れます。そしてupで喜んだのも束の間すぐにdownがおとずれます。これは特に滝が三葉と連絡が取れなくなって探しにいったころから顕著です。

  1. 滝が友人二人と夢で見た街を探し歩く →(期待を抱かせるひっぱり)
  2. ラーメン屋の店主が知っている ↑(一瞬の高揚)
  3. 実は3年前に彗星に。。↓(衝撃)
  4. 現地を見る。スマホのデータが消える↓↓(衝撃の連続)

極め付けは時空を超えて始めて直接会った時です。

  1. 声を掛け合って探し求める二人 →(期待をいだかせるひっぱり)
  2. 近くまで来たけど姿は見えない ↓(失望)
  3. かたわれ時でお互いの姿が見えたとき ↑(高揚)
  4. 酒を飲んだり、おっぱいを触ったことを非難される ↓(苦笑)
  5. 名前を書く ↑(安堵)
  6. かたわれ時がおわって三葉が消える↓(衝撃)
  7. 滝が三葉の名前を忘れないように連呼する↑(希望)
  8. 滝が三葉の名前を手に書こうとするが忘れる ↓(衝撃)
  9. 滝がなぜそこに来たかも忘れてしまう↓(絶望)

この気分のup、downがほんの短い時間で起こるので見ているほうは感情のジェットコースター状態になってしまうのですが、実写ではここまで短い時間でup, downをくり返すシナリオは少なくカット割の多いアニメならではの表現だと思います。リアクションビデオを見ていると、この計算された気分のupとdownがこの作品の特徴の一つだとあらためて認識させられます。