このアニメはビデオ配信でときどきおすすめされたので名前は知っていて、いちど最初のところを見たのですが、どうもとらえどころがない感じがして1話の途中で視聴を打ち切っていました。でも最近、昔の仕事の同僚からお薦めされたのであらためて見てみました。改めてじっくりみると、特に4話以降は精緻に作られてた世界の中で怒涛の展開に圧倒され一気に全25話を通してみてしまいました。そしてその世界をより詳しく知りたくなり原作小説も読んでみました。原作を読むとアニメはかなり原作に忠実だということがわかり、かつより世界を深く知ることができました。
物語は1000年後の日本で「呪力」という一種の超能力が使える人たちが主人公です。一見、最近よくある異世界ものののように感じますが、その世界の作り込みの深さと投げかけるテーマの重さがラノベとは全く違う本格SFです(もちろんファンタジーなどの要素もはいっていますが)。ラノベのファンタジーとSFの違いは何か?ということについてはいろんな考え方があるでしょう。SFは普通はScientific Fictionの略ですが、実際は科学的にはありえないことも小説にすることは多々あります。私にとって一番しっくりくるのはSFの略語はSpeculative Fictionの略です。これは小松左京がよく言っていましたが日本語で言うと思弁的小説。つまりある仮定をおいてその仮定を徹底的に突き詰めていくことで、あるテーマを炙り出すというものです。
この「新世界より」の場合の仮定はなにかというと、「もし人間が超能力をもったら」ということになります。これだけだと多くのラノベやファンタジー小説でも数限りなく作品がありますが、その仮定を徹底的につきつめて人類という社会はどうなっていくのか?人の本質とはなにか?ということを掘り下げていくのがこの作品のテーマになっていて、それが類のない超能力小説・アニメとなっているのです。
次回からさらに詳細をみていきたいと思います。