あまたあるタイムループもののなかでサマータイムレンダを際立たせている特徴をあげてみようと思います。
- 物語は基本的に離島の中で進んでいき、島の外のエポソードはほとんど言及されていません。ベストセラー作家の世間での受け入れとか島を出た少年の東京での暮らしなどもほとんど描写されていません。そのため登場人物は少なくないが話が不必要に複雑にならずに済んでいます。
- なぜか一般市民が銃をもっています。日常の延長のドラマの場合、日本の状況にあわせて銃が登場することはほとんどありませんが、このドラマではなぜか老人がライフルを、警官が私物のデリンジャーを持っています。少なくともアニメではこれらの銃がどうやって手に入れたかは言及されておらず視聴者としては疑問が残ってしまうところですが、銃があることで話のテンポを早めることができているのは確かです。
- 主人公が死ぬことでタイムループを繰り返すところは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と同じですが、繰り返すたびに戻る時間が近づいてくるという制約があるのが違うところ。これは物語に切迫感を与えるのにかなり効果的。そしてその説明をイベントホライズンというもっともらしい言葉で説明しているのも不必要に複雑になることを避けています。
- 主人公の思考パターンがキーになっている。不可思議な現象に対応するときに主人公は「俯瞰」して考えるという癖をもっているのですが、「俯瞰」しているときに視聴者に主人公と同じように考える機会を与えられるます。スピーディな展開の物語の場合、視聴者が考える余裕もなく話が進んでいくことがありますが、主人公が「俯瞰」することでスピーディさを削ぐことなく視聴者を参加させていることができています。
- 前編にわたって和歌山弁のオンパレード。おそらく空前絶後でしょう。登場人物にリアリティをだすことに成功しています。見終わったあとに無意識に和歌山弁がでてくる自分が怖くなります。。。
こういう工夫でスピーディな展開にも関わらず視聴者に共感をもって見てもらうことができる物語になっています。
次回は気になったこと編です。