おそまきながら新海誠の天気の子を見てみました。いままで見ていなかったのは評判がいまいちだったこともあってちょっと敬遠していたからです。時間に余裕ができたので見てましたが、結果は・・・やっぱり「うーむ」という感じ。
ストーリーは一言でいうと、東京にふりかかる異常な雨を止めるために一人の女の子が人柱になるけれど、主人公の少年が東京の雨よりも少女の帰還を優先ことで東京には雨が降り続けやがて水没してしまうという流れ。
うーむとなる一義的な問題は、ラストが悲劇的ではないけれど完全なハッピーエンディングではないという問題。少女は救われたけれど東京は救われなかったということをどう捉えていいのか観客は戸惑ってしまいます。
普通だれかを犠牲にすべきかどうか?という設問がされる場合は、その他大勢の命と最愛の人一人の命のどっちを取るべきか?とか、あるいはSteins;Gateのように二人の最愛の人のどちらを取るか?という究極の問題であることが多く、この場合、観客もどうしていいかわからず主人公と一緒に悩んでしまいます。ところが、この映画では長雨と最愛の人とどちらを取るかというなかなか微妙な(想像が難しい)設定になっています。なので少女のほうをとるという決断を主人公がしたときも、「あーまあ、そうだろうなあ」程度の感想しかもてません。
そして、もうひとつ大きな問題は舞台がほとんど「君の名は。」と同じ東京であるということ。「君の名は。」での東京の描き方が鮮烈だったがゆえに「天気の子」の視覚的インパクトが弱くなっているのは否めません。それにしてもほんとにドコモタワーが好きだなあとちょっと驚きます。
新進気鋭のクリエーターもみな巨匠になっていくとわかりやすいハッピーエンディングを避けるようになります。新海誠もそうなってしまうのか、とっても気になります。次回作「すずめの戸締まり」が11月公開なのでちょっと注目してみましょう。