FB友達からのおすすめで「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」を見てみました。いったいどんな話なのか恐る恐るみたら、思春期の微妙な心のゆれがさまざまな現象を引き起こしていくのを解決していく話。TV版と劇場版を一気に見てしまいました。
キーワードは「観測者」と「シュレディンガーの猫」。シュレディンガーの猫は量子力学の初期にシュレディンガーが唱えた仮説で、量子力学的記述が不完全であると説明するために用いた、猫を使った思考実験。
箱の中に猫と放射性元素をいれて、放射性元素の1時間あたりの原子の放射性崩壊確率を50%とし、ガイガー計数管が原子崩壊を検知すると電気的に猫が殺される仕掛けにすると、1時間経過時点における猫の生死は
|箱の中の状態|=|(放射線が放出されたので)猫が死んでいる|+|(放射線が放出されていないので)猫は生きている|
という50%ずつの重ね合わせの状態になり、箱の中では箱を開けてそれを確認するまで猫が死んでいる状態と生きている状態の重ね合わせになる。もしもこれが現実を記述しているとすれば、「巨視的な観測をする場合には、明確に区別して認識される巨視的な系の諸状態は、観測がされていてもいなくても区別される」という“状態見分けの原理”と矛盾する。(wikipediaより)だから量子力学はおかしいというのがシュレディンガーのといかけでした。まあ、この件は結局、そんなにおかしくないということで論争は落ち着いてしまったのですが、アニメ製作者には格好の題材になっています。
「観測者」がなにをどう観測するかで存在が変わってしまうというのは涼宮ハルヒでも論議され、Steins;Gateでもクローズアップされました。そもそもSteins;Gateでは歌詞の中に「観測者」「波動関数」とかという言葉もでてきますから量子力学が意識されているのは間違いありません。(エル・プサイ・コングルゥのプサイも多分波動関数のψからきているのでしょう)
そしてこのアニメでも、高校生の人気女優がだんだん人から見えなくなっていってしまうという話からスタートしてぐっと視聴者を惹きつけます。その人気女優、麻衣は自分を見えている人を探すためにキテレツな格好をします。それがバニーガール。
突拍子もないアイデアでグッと人を惹きつけて、主人公(ちょっとハルヒのキョンを思い出させる)と麻衣とのラブストーリでほろっとさせます。なかなか味のあるアニメでした。しいて難点をあげれば途中からちょっと似たようなパターンが増えて、見ている人は「どうせ解決するんだろ」という雰囲気になってしまうのが惜しいところ。
でも総合的には絵の綺麗さも相まって満足度の高い作品でした。