STORY
何事にも省エネで取り組む主人公折木奉太郎が高校で「古典部」という廃部寸前の部活に入部し、三人の友達と学校生活の中でおこる日常のささいな謎に挑む。原作は2021年に「黒牢城」で直木賞を受賞した米澤穂信。作中では場所は架空の地名となっているが、モデルとなっているのは舞台は飛騨高山の高山市。
◆氷菓 全22話(2012)
https://www.kyotoanimation.co.jp/kotenbu/
REVIEW
実は米澤さんのことを全く知らずに氷菓を見ていたのですが、とにかく不思議な作品です。
ミステリー仕立てだけれど特に大きな事件ではなく日常の些細なことを推理するという日常学園ものです。ストーリーそのものには大きな感動はありません。ところがそれをアニメーション化したのが京アニなので、これでもかという美しく叙情的なシーンの連続。絵の妖しい美しさの魅力と日常の些細な事件のアンマッチがとても不思議な作品です。
もともと省エネルギー主義でできるだけ無駄なエネルギーを使わないように生活していた主人公が古典部の活動を通じて徐々に千反田たち友達のことを考えるようになってくるという微妙な変化も微笑ましく感じます。
実在の高山市の建物や風景をモデル化した精緻な風景と天候や季節による風景の光の変化の演出が素晴らしく、現在の京アニの映像表現が確立した作品です。
総合 | 総合評価 | 77 | 日常生活の謎に挑む豪華な絵の異色のミステリ | |
A | テーマ性の高さ | 8 | 一応ミステリをおいかけている | |
B | シナリオ・演出の良さ | 7 | 原作を忠実になぞったシナリオ | |
C | キャラクターの魅力 | 8 | やる気のない主人公と好奇心旺盛のヒロインの組み合わせが楽しい | |
D | 絵の美しさ/作り込み | 9 | とことん書き込まれた美しい絵。現在の京アニ作品の原型 | |
E | 感動度 | 6 | 謎ときは軽い日常の話なので特にカタルシスはない | |
F | 癒し度 | 8 | のんびりとした学園生活が郷愁を誘う |