STORY
子供のころからユーフォニアムを吹いていた主人公が弱小の北宇治高校の吹奏楽部にはいり、新しく着任した顧問の指導のもとで全国大会を目指す。厳しい練習の中で友情をはぐくむ。どこか醒めていた主人公が「特別」を目指す友人にも影響されて変化していく。
◆響け!ユーフォニアム 全13話(2015)
◆響け!ユーフォニアム2 全13話(2016)
REVIEW
音楽ドラマとして”のだめカンタービレ”が大変有名です。アニメも実写も大好きですが、オケのシーンではアニメの絵は全くリアルでないし、実写の千秋の指揮はとても見ていられないものがあります(頑張っているのは認めるますが、、)。まあアニメとか日本のドラマってこんなものかなあと諦めていました。でも本作は、そんな音楽アニメの限界を大きく超えています。指揮者は目と手で演奏者にキューを送り、演奏者はそれに応えて吹くという様がとってもリアル。並んだトランペットのラッパが咆哮する絵とかは、カラヤンがドイツグラモフォンで作ったビデオを参考にしてそうです。指揮者の動きはたぶんモーションキャプチャーかな。演奏シーンの絵の枚数は”のだめ”の100倍以上はあるように見えます。
ストーリー的には完全なスポ根で部員たちは朝6時から夜遅くまでハードに練習していて、同じ京アニ作品でもユルユルの”けいおん!”と正反対で面白いです。アニメの絵としてはヴァイオレット・エヴァーガーデンと並ぶ京アニの最高峰作品。
絵が綺麗なのはもちろん、例えば「二人の親友が電車のシートに並んで座っているけどお互い違うことに思いを馳せている」というシーンで電車がガタっと揺れると二人の頭が同期して動く(言葉はなくても心は通じている)とか、勝負のコンクールの前にみんなで音合わせをしているときにペットボトルの水にさざなみがたっている(音のピッチが完全にあっているので共振している)とか、ここまでやるかというくらいの描き込み。
セリフのない静かな間でもすっと心に沁みるものがあり、東京物語とかの小津監督作品を思い出させる。。。。そして猛練習と静かな日常の合間の小さな事件とものすごくエモいシーンのコントラスト。
音楽シーンの絵の水準の高さは人間ドラマにも反映されていて青春の人間関係を十分描ききっています。シーズン1の最終回の(予想されていはいるけど)高揚した感動もシーズン2の最終回の(予想外の)爽やかな感動が印象に残ります。この作品が音楽ドラマのスタンダードになったら今後音楽劇作る人は大変です。
総合 | 総合評価 | 90 | 真正面から物事に取り組む素晴らしさを再認識できる | |
A | テーマ性の高さ | 10 | 吹奏楽を真正面からとりあげている | |
B | シナリオ・演出の良さ | 9 | 総合演出の山田尚子の丁寧な演出が光る | |
C | キャラクターの魅力 | 8 | 現実味を残しながら象徴的な性格のキャラクターたち | |
D | 絵の美しさ/作り込み | 9 | 楽器も演奏する姿も会場もすべて緻密に美しく表現されている。これ以上の音楽アニメは想像することが難しい | |
E | 感動度 | 9 | 苦労をして歓喜に至る正統的な感動 | |
F | 癒し度 | 7 | ときおりある友達どうしの会話が楽しい |